第96章 梓からの相談
梓さんは私の両手をとって、ぐっと力強く握った。
「お願いめぐみちゃん。私とキャバクラで少しだけ働いてくれない?めぐみちゃんがいてくれたら心強いの。」
「だめ。絶対にダメ。」
「…。」
私がはっきりというと梓さんはしゅんっと肩を落とした。
それでも私は意見を変えるつもりはない。
「私がいくから。梓さんは行かなくていい。」
「…え!?」
カウンター内で大声を上げたので、私は人差し指を口元持って行き静かにさせた。
彼は窓際でまだのんびりとコーヒーを飲んでいるようだ。
「誰も言わないでね?私実はちょっとだけキャバクラの経験あるの。だから、怪しいお店教えて?様子見てくるから。梓さんはあぶないから。」
「めぐみちゃん一人は…」
「だーいじょーぶ。ね?」
経験があるというのは本当だ。
こちらの世界に来て、組に入った時、組が経営していたお店で働いたことがあるからだ。
ただ違法の…だから、ちゃんとしたキャバクラのルールとかはわからないからそこは少し不安だ。
「私ねーーー…。」
梓さんに握られていた手をぐっと握り返した、
「子供や家族のために、身を削って働く子を、そういう風に騙す奴が……死ぬほど許せないの。」
「めぐみちゃん…」
心配そうに見てくる梓さんに私は微笑みかけた。
「様子をみてくるだけ。誰かについて行ったりしない。」
力強く梓さんにそういうと彼女はゆっくりと頷いた。
梓さんからお店の場所や、被害に遭った女性たちの特徴など、詳しいことは後から聞くことにした。
とりあえず、お店が悪いことをしているのか、お客さんに悪いことをしてる人がいるのか、それとも店の周りにいるのか、それだけでも知りたい。
「安室さんに相談した方が…」
こんなこと黙ってやってたらまた絶対怒られる。
私は安室さんに言ってもいいか梓さんに聞いた。
「それが…えと……実は、ここに友人が何度か来店したことがあるの。」
「そうなの?」
「彼女のめぐみさんに言いづらいんだけど…友人ね…安室さんのことが好きみたいで…」
おっと…、一気に気まずくなった。どんな顔をしたらいいんだろう。
「キャバクラの話や動画とかの話をしたくないみたいなの。」