第95章 休暇5【彼からの贈り物】
安室さんは箱の蓋を閉め、ぽいっと机に投げた。
「前にめぐみに預けたものがあっただろう。あれだ。」
「えっ!?」
あの小さな紙袋に入っていたやつ?
「めぐみに試してみろって。前に使ったからバレないようにって…。旅行を楽しめとメモを渡された。」
「ひ、ひどくない!?」
「しかし、やっぱり食べさせるのは気が引けて…。それに赤井の言う通りに動きたくなかった。」
危なかった!
安室さんなら赤井さんの言う通りに私にバレないように口にさせるなんて簡単なことだろう。
それをされたら今頃……安室さんに………お、恐ろしいっ!
「でも、なんで今出したの?」
「…めぐみが本当に食べられない物なのか確かめたかった。これがめぐみも何かわかるってことは以前赤井の前で食べたんだな。」
「……。」
「そうか…試すようなことして悪かった。」
「…いえ。」
横に座っている安室さんの顔をチラリと見上げた。
私の方を見ることなく、安室さんは立ち上がった。
…怒った?
けど、酔ったらどうなるかなんて安室さんは知らないよね?
赤井さんに聞いたんだろうか。
それともなんとなくわかっちゃった?
「せっかく買ってきた甘酒一緒に飲もうか。」
買ってきてくれた甘酒。
安室さんはにこやかに私に渡してきた。
「そうだね。生姜入り好き。」
「あぁ、僕も。」
甘酒をうけとり、私はこくりと口にした。
「……んっ!?」
何口か飲んで違和感を感じた。
「あ、安室さん…?これ…。」
「あぁ、日本酒が入ってる。買った後僕が入れた。」
「…けほっ、なんで。」
「苦手なお酒がある。…記憶を無くしたことがある…以前聞いたきた言葉を色々繋げて、めぐみはチョコレートではなく中に入っているお酒がダメなんだろうと思った。今回絶対に日本酒も飲まないし、飲んだ後の僕とのキスすら拒否してたから。」
くらくらする。
混ざっている分いつもよりゆっくりだけど、だんだん目が回ってきた。
「…はぁ……」
荒くなっていく呼吸。ドキドキと動悸が強くなる。
安室さんは横でじっと私を見下ろしていた。
そして、口に甘酒を含むと、私の後頭部て手を添え、私に口移しをしてきた。
「んっ…!」
その後のことはもう何も覚えていない。