第94章 君に会いに
「…ぜ………ろ…」
涙が止まらない。
何が悲しいのか切ないのかわからない…
ただ……
「…っ! ーー!」
「が、とう……じ、ぺーちゃ」
「え?…めぐみっ!おいっ!大丈夫か!!」
揺さぶられる肩。
抱きしめられ、頬を誰かに撫でられた。
「めぐみっ!起きろ!」
「んんっ…あ…むろさ…」
「しっかりしろ!どうした!何があった!」
…焦っている安室さんなんて珍しい。
ぼーっとする頭を必死で働かせて、私は起きあがろうとした。
安室さんに支えられて汚い畳の上に座った。
心配そうに私の顔を覗き込み、未だ流れる涙を拭いてくれた。
「めぐみ、何があった。なんでこんなところで寝てたんだ。」
「…わからない。」
頭がぼーーっとする。
安室さんの背中を見ながら階段下に落ちていったのは覚えている…
「階段でお札貼ってたはずなのに、振り返ったらめぐみがいないから焦った。あんなに怖がってたくせにこんな暗い部屋に一人…」
「…え?」
「しかもお札を貼る最後の部屋じゃないか。」
「階段で誰かに押されたの。落ちたって思った…んだけど…気がついたらここにいたよ?」
あれ?
何かーーー…誰かにあった気がするけど…。
なんだっけ?
「忘れちゃった。」
「忘れた?」
「うーん…ぼーっとするの。何か大事なこと…んー。」
暗い部屋の真ん中で頭を抱えた。
安室さんはそんな私の手を取り、立ち上がらせてくれた。
「そんなことより、押されたって。」
「うん、だからここにいるやつと相性悪いから早く出ろって。」
「…は?誰に?」
「あれ?…誰だっけ…。」
誰にそんなことを教えられたんだろう。