第93章 休暇4【観光編】
キッチンはさほど広くなく、お札を貼るための目印はすぐに見つけられた。
お札を貼っている間は手を離すため、安室さんにピッタリひっついて離れないようにした。
「この先はお風呂とトイレかな。貼るところがあるかだけ見てくるよ、ここにいて。」
「いるわけねーだろ!一緒にいく!」
「…総長出てきてるぞ。わかった、ほら行こう。」
奥の狭い通路を進むと確かにお風呂とトイレであろう部屋があった。
木製の廊下がギシギシうるさい。
お風呂場の浴槽の上にひとつ貼るところがあり、そこに貼ると私たちは別の部屋に行くために1番最初の部屋に戻ることにした。
台所を通り、ガラガラと障子を開けると、安室さんが立ち止まった。
「…どうしたの?」
「開いてる。」
「…へ?どこが?」
安室さんは真っ直ぐ前を照らした。
畳の広い部屋に入ると台所の障子を閉め、安室さんの照らされた方を私も見た。
ーーー開いてる。
私はきっちり隙間なく閉めたはずだ。
襖が開いてる。
30センチほど。
「ああああ安室さんっ。」
「…。」
「真剣な顔にならないで!黙らないで!」
「ん、あぁ、ごめん。いや、誰か入ってきたならどこにいるんだろうと気配を探ってた。」
「お化けだよ!幽霊っ!絶対勝手に開けた!!」
「幽霊なんていないって。それより誰か入ってきて襲われる方が危ないだろ。まぁ僕がいるから平気だが。」
「他のお客さん!?」
「いや、一組ずつのはずだ。そんなに長いものじゃないし、終わったら次のお客さんをいれるって書いてあった。」
「ほら!やっぱり幽霊だ!よし!帰ろう!」
「僕たちを驚かせるための演出だろう。面白いじゃないか。あと4枚あとは二階か?」
「ねぇ、聞いてる?」
余計楽しそうな表情になった安室さんの服を引っ張った。
「さ、行こう。めぐみ。襖閉めてね。」
聞いてないっ!
このお化け屋敷を嬉々として楽しんでるっ!