第93章 休暇4【観光編】
長い廊下をゆっくり進む。
片側は縁側だったのだろう。
今はベニヤ板で塞がれていて薄らと隙間から明かりが漏れていたが、中を明るくするほどではなかった。
「…めぐみ。歩きづらい。」
「だ、だって近くにいる!絶対近くに幽霊みてる!さっきの男の人だよ!」
「幽霊はいないって。」
先程よりも強く安室さんの左腕にしがみついた。
…くく………
「ひっ!笑った!今笑ったよね!?」
「僕?」
「違うっ!後ろ!!!!」
「何もいないって。ほら。」
廊下の後ろの方を安室さんがライトで照らしたが、確かに何もいない。
薄暗い廊下が続いていた。
「怖いよー…安室さん怖い…」
「大丈夫だって。ほら一回落ち着いて。」
廊下のど真ん中で安室さんが私の頭を引き寄せて自分の胸に押し付けた。
トクントクンとゆっくりとした安室さんの心音が聞こえてきた。
「もう、離さないで…」
「…そうしたいのは山々だけど進まないと終わらないから。鍵閉められたし。」
「えっ!?」
「最後のお札貼るところに内側から開く鍵がもらえるんだと思う。その鍵で裏口から出てクリアかな。」
「…まだ…半分も終わってないの?」
「そうだな。」
「…うっ…」
「泣くなよ。」
「だって…こわいーー。」
「僕がいるって。しかし、ここまで怖がりとは思わなかった。」
ぼたぼたと勝手に涙が出てきて、止まらない。
それほど怖い。
涙をガシガシと服で無理やり拭いて止めようとしていると、安室さんが親指で目尻をぬぐってくれて、頬に軽くキスをした。
「ほら、落ち着いた?」
「…こわい。こんなところ連れてきた安室さん嫌い。」
「そういうな。僕は楽しんでるよ。最高の休暇おくれてる。めぐみのおかげで。」
そんな言い方ずるい…。
楽しんでるなら最後までやるしかないじゃない。
お札はあと4枚ーー…。