第93章 休暇4【観光編】
暗い……。
湿気とカビ臭さでむわっとする。
「はぁはぁはぁはぁ。」
「めぐみ。ライト。」
「ひっ!!」
「めぐみ…まだ玄関…。ライト付けて。」
「はぁはぁはぁはぁ。」
絶対何かいる。
見られてる。
プルプル震える手で必死にライトをつけた。
「…ライト持とうか?そしたら手を繋げるけど。それかクマ。」
「クマちゃんは抱っこしときたい…。」
「じゃあ、ほらライト。」
自分で思ったところにライトを向けられないのは不安で仕方ないけれど、今は何かにしがみつきたい。すがりたい。
「安室さん怖い…。あれ?なんでこんなことしてるんだっけ。」
お金払って自ら恐怖へと向かうなんて馬鹿じゃん?
帰りたい。
「ん?めぐみのおもしろ……かわいい姿が見れるかなって。」
「いま、面白いっていおうとしたよね!?ね!?そんな姿どこでも見せてあげるから!やめよう!今からでも間にあうよ!」
「しっ。何かいる。」
「あーーーーっ!!」
「うるさい。」
何かいるって言った!何が!?どこに!?
私は安室さんの腰にしがみついた。
「はぁはぁはぁ…っ!」
「騒ぐと近づいてくるって聞いたことあるよ。」
「っっ!?黙るっ!叫ばないっ」
「うん、そうして。ほらせめて玄関からあがろう。靴履いたままでいいって言ってたから。」
古民家だから、玄関がすごく高い。
膝くらいの高さを土間から上がって畳の上を土足で歩いた。
心もとない懐中電灯のライトだけが薄汚れた畳の上を照らした。
なんだか臭い…。
古いからギシギシと足音が響く。
安室さんに左腕をしがみついて薄目で進んだ。
襖を開け、広い部屋が広がった。
中に入ると安室さんが立ち止まった。
「閉めないと。」
「…えっ。」
「扉は全て開けたら閉める。だろ?」
「…っ!!」
おこ…おこ…怒られるっ!
私は振り返って、襖を隙間なくきっちり閉めた。
広い部屋は家具は特になく、広い畳の部屋で、床の間があった。
薄汚れている。