第93章 休暇4【観光編】
私は3点や1点のゴムの軽いオモチャを確実に倒した。
照準を合わせて…
「あっ。」
こんっとぶつかったものの倒れない。
「ちぇー、当たったのに。」
「物には重心がある。」
そう言って私の背後に回ってきた。
「…じゅーしん。」
「そう。肩の力ぬいて。これはオモチャだから軽い。」
「う、うん…。オモチャ以外持ったことないけどね。」
左耳元で安室さんが話す。
周りには人が沢山いて、見られている気がした。
だって、安室さんは目立つから。
「ここ覗いて、先にあるこの突起と合わせるんだ。」
「はいっ。」
「ブレないように…固定して…引き金ひいてごらん。」
手を上から重ねられ、ほぼ後ろから抱きしめられているような格好だ。
こんな人前で…!
「ほら。赤くなってないで、集中。」
「だ、だって…!」
「勝負なんでしょ?僕が勝っていいの?」
「だめっ。私が勝つ!」
「ふふ、じゃあ、頑張って。」
私から少し離れてニコッと笑うと、後ろで待っているママさんが顔を赤くした。
さらにその後ろには昨日の夜安室さんをナンパしていた女性三人組も立っていた。
また安室さんを見てキャーキャー騒いでいる。
むぅ。
なんかもやっときて、私はオモチャのライフルをぎゅっと握りしめた。
なんか色々負けたくない。
安室さんにも、安室さんを見て騒ぐ女性たちにも!
「合計何点だった?」
「17! 2発だけ外れたけどあとは全部当てたよ。」
ひとつだけ安室さんの助言通りに撃ったら5点の的に当てることが出来た。あとはコツコツと1点や2点の的を中心に狙って稼ぐ作戦だ。
「凄いな、僕は4発も外したよ。」
「やった!私の勝ち!?」
「60点。僕の勝ちだね。」
「…。」
全部10点の重い的を倒したのか…。一度狙ってみたけど、当たってもピクリとも動かなかったのに。
「悔しいなー、負けちゃった。」
そう言って私は景品の前に立つ安室さんの手を取って指を絡めた。