第8章 心の休む場所
カチカチっのマウスをいじっていると、首のあたりに何かがあたり髪の毛を移動させられた。
急な事で、ひぃっと声を上げてしまった。
左から右に髪の毛を流されたせいで、空いた左の首のあたりにスーと冷たい空気が触れた。
「あ、安室さん!ダメって言ったじゃ…きゃっ」
後ろを振り向いてだれか確認するまでもない。
ちゅっと耳元で音がする。
マウスを持っていた手も上から覆うように握られ、安室さんの左手は私の右頬を持って左を向かされていた。
今度は左頬にキスをされた。
「や…恥ずかしい…無理ですって。」
「これも強制わいせつですか?」
「はいっなります…!だから、やめて…。」
「そんな表情で言われてもやめられません。」
な、泣きそう!
強がっていても、イケメンにここまでされるなんて、免疫なさすぎてどうすればいいのかわからない!
「同意を得ればいいんですよね。最期に、貴方のここに触れたいのですが。」
親指が私の下唇を撫でる。
驚いて、閉じていた目を開くと、もうすでに至近距離に安室さん。
「だ、だめです。」
本当に勘弁して欲しい。
別に凄くいやだってわけではない。
だけど、理性がまだ少し残ってる。
カッコいいとは思っていても、好きとは違って、そんな事を考えたこともなかった。
いきなり過ぎて、どうすれば良いのか、何を考えればいいのか、わからない。
だから、順序よくしてって言ったのに…。
「お願い…安室さん…待って。ゆっくりして…」
「…なんて、顔するんですか。」
強がっていられなくって、思ったことをそのまま口にしたら、安室さんはゆっくり離れてくれた。
「すみません、あまりに可愛くて。ただ、泣かせるつもりは…。」
私だって泣くつもりもなかったよ!
こんな年齢にもなって、男に口説かれて泣くなんて!!!
安室さんは、眼鏡に当たらないように、指で涙を拭ってくれた。
驚いて出た涙だったので、意外とすんなりひいてくれた。