第91章 休暇 2
車の中で話をしていると思いの外、時間はあっという間に過ぎて行った。
「温泉街に入ったな。…えっと旅館は。」
キョロキョロと周りを見ながら安室さんは車をゆっくりと進めて行った。
「旅館選んでくれてありがとう。えっと…もちろん別の…」
「あぁ、もちろん同じ部屋だ。」
…ですよね。
温泉旅行一緒に行く男女が同じ部屋かー…
お酒をめちゃくちゃ飲ませて寝かせてみる…?
「夜楽しみだな。」
「えっ、あぁー…ご飯?うん楽しみだね。」
信号待ちでニコニコ笑ってこちらを見る笑顔が胡散臭い。
「またいくらか教えてね。宿泊代払うから。」
「それはいい。僕の本当に好みで選んだ部屋だから。」
「でも…二日分だし。少しだけでも。」
「いいって、国家公務員舐めるなよ。」
「…え、国家公務員なの?」
「…何だと思ってたんだ。」
「えっと…警察。」
憐れむ顔で見るな。
馬鹿だなーって顔をするな。
「警察庁の人間だといったろ?」
「うん、風見さんは警視庁でしょ?」
「そう。風見は東京が管轄の地方公務員。僕は日本全体が管轄の国家公務員。」
「じゃあ、全国の警察にはそれぞれ公安がいるの?」
「そ。それに指示したりできるのが警察庁。」
すんごく簡単な言葉で説明してくれる安室さん。
「安室さんってすごい人なのね。」
「今気づいたか。」
「今聞いただけの勝手なイメージだけど、指示する側なのに、最前線いない?」
「僕が優秀すぎるからな、ここまで動けるのが僕くらいしかいない。」
どうしよう。すごい納得してしまった。
嫌味に聞こえないのが、安室さんらしい。