第89章 もっと
布団の中で二人で横になり、私は降谷さんの腕を枕にしていた。
背中には降谷さんの胸があり、温かい。
降谷さんの左手を枕にしていて、目の前にはその手のひらが見えていたから、その手のひらに自分の手を添えた。
「どうやって外したの?」
「鍵持ってるって言ったろ。」
「いつでも外せたんだ…でも、繋がれた状態でよく外せたね。」
ベルトもあったはずなに…。
「僕を誰だと思ってる。」
「公安のエース…だっけ?」
そんな風に言われてるなんて知らなかったけど。まさか本人から聞くとは思わなかった。
こういうのって普通第三者から聞くもんじゃないの?
降谷さんの場合は本人が言ったとしても、違和感ないのが彼の凄いところだろう。
「満足した?」
「…なんかもうちょっと、外してーって泣いて欲しかった。」
「それはめぐみの役目だろう。」
「…。でも、たくさん手錠の音立てさせることできたら満足。降谷さんいい顔してた。」
「…新たな扉を開くところだった。」
「ほんと?」
「いやそんなわけないだろう。僕はやっぱり逆だな。めぐみを泣かせたい側だ。最後、泣きながらイクめぐみが最高だった。」
「…っ!もう!」
私の枕になっている降谷さんの腕をつねった。
くすくすと笑う降谷さんは私のお腹に手を回し、抱きしめる力をすこし強めた。
「警察官の手錠。次からは黙って取らないように。」
「…はーい。」
自分は使うクセに。
「もちろん、僕は使うよ。」
「…理不尽。」