第89章 もっと
やった。
やった…!
安室さんがキッチンにいるあいだに、手錠を布団の下に隠しておいて、銃を触るふりをして気を引くって作戦ーー…!
さすがに手首を捻り上げられて押さえつけられるとは思わなかったけれど。
こんなうまくいくとは思わなかった!
「は?……めぐみ?」
ギロリと下から睨みつけてくる安室さん。
「…え、えへ。安室さん確保っ!」
腰に抱きついて怒りを鎮めようと試みた。
「ダメだ。外せ。」
「…私もあなたを好きにしたい………だめ?」
甘えてみる。
「……っ」
布団で胸元を隠しつつ、右手ですすーーっと安室さんの太ももを撫でた。
「降谷零さん、21時半現行犯で逮捕します…。」
自信なさげにそう言うとくすくすと笑ってくれた。
「やられた。降参。」
手錠をつけたままの降谷さんは腕を上げるとその中に私を閉じ込めた。
「刑事さんは僕をどうするんだ?」
「…もうちょっとうろたえてくれるの想像してた。」
「んー、だって簡単に外せるし。」
「えっ!?でも鍵…!」
「僕ももってる。僕が水を取りに行く前に、めぐみが棚を気にしてドキドキしてるの気付いていたし、帰ってきたら手錠は消えてた。鍵の予備を念のため持ってからきて、僕の後ろに置いておいた。」
「し、知ってたの!?」
「当たり前だろう。僕を誰だと思ってる。この、公安の、エースを……一般人のめぐみが、拘束できると…本当に、思ってるのか?」
一言一言力を入れ、私にしっかり言い聞かせるように降谷さんは言った。
結局降谷さんの腕に閉じ込められている私は、しょんぼりと項垂れた。
「しかし、まぁ可愛いめぐみに免じて少しくらい好きにさせてあげてもいいけど?」