第87章 優しさ
朝の開店準備が終わると、安室さんはサンドイッチを大量に作りはじめた。
きっと毛利先生のところにもっていくんだろう。
その様子を見て私はつい、ふふっと笑ってしまった。
「どうしたの?めぐみさん。」
私が一人笑っているのをみて、コナンくんが言った。
私はチラッと安室さんに視線を送り、こちらに気づいてないことを確認してから、コナンくんの耳にそっと近づいた。
「ね?毛利先生へのお詫び…、すぐに作ってる。優しいでしょ?」
「あ。それで?」
コナンくんはふーーんって言いながら、カウンターで肘をついて安室さんを見ている。
「めぐみ?聞こえずともわかるぞ。」
「ひっ。」
私はコナンくんの後ろで掃き掃除をしていたが、肩をビクッとさせた。
「はは。」っ苦笑しているコナンくん。
「あれ安室さん流の照れ隠しだから。」
「めぐみ…?」
「えへ。…むぐっ」
カウンター越しにすでに出来上がったサンドイッチを口に押し込まれた。
「朝食べてないだろ。」
「もがっ…ん…それは…安室さんもでしょっ!」
カウンターを乗り上げ、私もサンドイッチを一つ持つと、安室さんに突き出した。
流石に安室さんほど手は長くないので、口に入れるほど届きはしなかったが、安室さんは手にとって口に入れた。
「朝起こすってめぐみが言うから信じたんだろ。」
「…う、うるさいなっ!ヘルメット一個しかないの忘れてたの!バイクでいけるんだったらもっと余裕だったもん!」
「なんで、買ってないんだ。」
「そもそも、自分のヘルメットを買って貰えてると思うことがおかしいって!」
「僕のも揃えとけよ。僕がめぐみの立場だったら買っとく。」
「う。ダサいやつポチってやる!」
「どんなものでも似合うさ。」
「嘘つけ!たまに変な服着てるくせに。」
「それは風見にいえ。あと、ダサい服は君には言われたくない。」
「なんだと!」
「ぷっ。あははっ!」
カウンターに座ってたコナンくんが笑い出した。
「…」
「…」
コナンくんがいるのにも関わらずいつものように言い合いをしてしまって、恥ずかしくなり黙り込んでしまった。