第84章 彼の仕事【三章】
夜、安室さんに一緒に買い出しに行こうと言われたので、お店を閉めた後、必要なものをリストアップしてちょっとウキウキしながら待っていた。
だめだ。デートじゃないぞめぐみ。
こんな時に行くって言うくらいだからきっと仕事の一環に決まっている。
…そもそも買い出しは仕事だ。
身を引き締なくっちゃ。
…と、安室さんと車に乗ってやってきたのはあの大型スーパー。
安室さんにカートを押してもらって、トイレットペーパーやキッチンペーパーを次々と入れていった。
すると、安室さんが急にピタリと止まった。
「ん?何かいい商品ありました?」
「…出てきていいぞ風見」
「はい。」
「あれ?風見さん…っとダメだったっけ?知らないふり?」
「いや、今はいい。こう言ったところはみんなあまり周りを気にしない。」
…そうだろうけど、スーツ姿の男性1人は目立つ気もするが。
「めぐみ。ちょっと近くで商品見るふりして待っててくれ。」
「はい。じゃあ、風見さんもまた。」
「えぇ。」
やっぱり風見さんと会う約束をしていたのか。
…電話じゃだめなのかな?電話だとハッキングの恐れがあるとか?
だめだ、やっぱり考えてもわかんないや。
遠目でみると、安室さんは商品を見ながら風見さんとお話をしているようだった。
風見さんもたまに商品に手を伸ばしているから、側から見たら本当にただのお客さんだ。
何か連絡し合う時はこうやって話をしているんだろうな。
すると、安室さんと目があって、ちょいちょいと手招きをされた。
「終わったの?」
「あぁ、ありがとう。」
「風見さんもお疲れ様です。」
「お久しぶりです。」
二人の元に駆け寄ると、凄く難しい顔をしていたのが少し落ち着いた気がする。
それでもまだまだ…
「二人とも顔がお疲れですね…」
「まぁ、しかたない。実際忙しい。」
「風見さん…食べてますか?」
「…大丈夫です。」
「まぁ、僕はめぐみのおにぎりを食べたからな。」
「安室さん、自慢にならないから。…タイミング合えば風見さんにも何か…あ。ここでホットドック買って帰りましょ。ボリュームあって美味しいですし。私、買ってきます!」
私は二人から離れ、急いでレジを抜けた。