第83章 彼の仕事【二章】
あまりお客さん来なかったのはよかった。
安室さんには座ってやる内職のような仕事を頼んでバックヤードでやってもらえるからだ。
私と梓さんでカウンターで仕事をしていると、黒塗りのセダンと大きな白いバンが停まった。
…あのバンは知ってる。
むしろ乗ったことがある。
バタバタとスーツの男性達が降りてきて、上の探偵事務所に入っていく。
…風見さん。
そのうちの一人が風見さんだった。
何でこんなところに?
「どうしたんだろ?警察関係者かな?」
「…うーん、っぽいよね。」
外であっても他人のふりを。と何度も言われたことだ。
「あ、もしかして毛利さんとなにか共同で捜査でもするのかな!?」
梓さんに言われ納得した。
昨日の爆破の件、本当に一緒に捜査をするのかもしれない。そうなるとコナンくんも関われるし。
ーーでも、安室さんは公安ってこと毛利のおっちゃんにはまだ明かしてないんだよね?あ、弟子として参加するんだろうか。
などど、考えていると、段ボールを抱えたスーツの男性達がどんどん、荷物をバンに運んでいく。
…?
一緒に…と言う割に様子が少し変だ。
チラリとバックヤードを除くと、ソファに座った安室さんは無表情で黙々と作業をしている。
私が以前頼んだことのある、箸を箸袋に入れていく作業。
…安室さんは毛利先生のとこ行かないの?
…なんて冷たい表情をするんだろうーー…。
…つらいの?
「安室さん。」
「…っ。あぁ、すみません。気付きませんでした。何か?」
「アイスコーヒー、どうぞ。」
少し固かった安室さんの表情が柔らかくなった気がした。
それに安心して、私はついソファに座って低い位置にある安室さんの頭に手を伸ばした。
「よしよし。がんばれがんばれ。」
ぽんぽんっとふわふわの髪の毛に触れると、その手を安室さんが掴んだ。
ちゅ。
手のひらにキスを落とし、安室さんは立ち上がった。
「ちょっと店先の掃除に行きますね。」
「はい。『正義のヒーローたち』頑張ってますもんね。」
「えぇ、僕以上に。」