第80章 ばったりと
あれから数日後、梓さんとシフトに入ってる日。
「梓さーん、ちょっと銀行と郵便局行ってくるねー!」
「はーい、気をつけてね!」
お客さんもまだらで落ち着いていたので、私は荷物を抱えお店を出た。
いい天気だ。
銀行や郵便局で用事を済ませ、再びお店に戻ろうと道を歩いていると、前を歩く見知った男女。
…?
安室さんと梓さんだ。
梓さん?
あれ?お店は?
今一人でお店いたはずなのに?
人違い?
目を凝らしてよーく見た。やっぱり安室さんと梓さんだ。
…腕を組んでいる。
カップルのように。
向こうからこちらに向かって歩いてくる。
どうしよう、Uターンすべき?不自然だろうか。
ーーー…安室さんその上着どこで買ったんだ。
ぼ、ボタン多いですね。
いや、今は安室さんのダサ…失敬。安室さんの上着のことはどうでもいい。私も人のことを言える格好でもないし。
迷いながら安室さんを見ていると、目があった。
「…っ。」
少し驚いている様子だ。
あ、これは今ダメなやつだったかもしれない。
ドンっ
どうしようか迷っていると、早歩きの男性にぶつかってしまった。
「あぁ、すみませんっ!急いでで、怪我はありませんか?」
「あ…はい。こちらこそぼーっとしてて。すみません。」
感じのいい大学生だろうか、キャップをかぶって爽やかな格好だ。
「あっこれ。あなたのですか?落とされましたよ。」
「えっ…?」
男性の手のひらには見たことのあるイヤーカフ。
武器密輸組織に潜入する時につけられた骨伝導のイヤホンだ。
返したはずだ。…なんで、ここに?
男性をみると、コータさんだった。
「あ、これ大事なものだったんです…ありがとうございます…」
ドキドキドキドキ。
私は変装をしているコータさんからイヤホンを受け取ると耳につけた。
『めぐみさん。』
聞こえてきたのは風見さんの声だった。