第80章 ばったりと
「でも、素敵です。お二人の関係。安室さんもめぐみさんも信頼しあってるんだなって感じで。」
手を合わせてうっとりという蘭ちゃんに、私は安室さんに視線を向け、恥ずかしくなってうつむいた。
「でもね!二人ともポアロにいる時そんな様子全然みせないのよ!この前浴衣を買いに行った時にちょっとだけ距離近いなって思ったくらいで!」
「だって…仕事中…」
「やだなー、梓さん。バレないようにこっそりやってるんですよ。」
「きゃーーー!」
「あ、安室さんっ!?」
カウンター内ってしれっと爆弾発言をする安室さんに、叫ぶ女子三人。
「ど、どんな感じに!?」
食い気味に聞いてくる園子ちゃん。そんなの答えるわけがない。
「閉店準備を二人でしてる時とか…ね?」
「きゃーーーー!」
まさに安室さんが立ってるその場所で浴衣を着てーーー…
私は顔が赤く熱くなっていくのがわかった。
「も、やめて…」
「ふふ、これ以上いうと後からめぐみさんに怒られちゃうので、辞めときます。」
イタズラっぽく笑う安室さんの顔面を殴りたい。
「じゃあ、さっき話してたライブのリハーサル、彼女のめぐみさんも来ます?」
園子ちゃんに言われ私は首を傾げた。
「リハーサル?」
「安室さんが波土さんの大ファンらしくってそのリハーサルに鈴木財閥の力で連れてってあげようって話してたのよ。」
波土…誰。
安室さんからそんな話は聞いたことはない。
話の流れからしてミュージシャンだろうか。
私は安室さんの方を見た。
すると、安室さんは一瞬だけ真剣な目をした。
ーーあ、これはお仕事で行くんだろうな。
直感的にそう思った。
「ありがとう、園子ちゃん。でも,私はシフトが入ってるから。」
「二人がベタベタするところ見てやろうかと思ったのに残念っ!」
「はは…」
「梓さんもシフト?」
「え?私?私はその人知らないからなー。私もいいかな。」
「じゃあ安室さんと私と蘭と…ガキンチョね!パパに話し通しとく。」
「すみませんありがとうございます、園子さん。いやー楽しみだなー。」
…なんだか最近安室さんが演技してる時がわかるようになってきたかもしれない。
たぶんそれは私が降谷さんを知ってるからだろうけど。