第78章 夏祭り
帰ったお客さんの席のグラスをバッグヤードに持ってきた梓さんはもうぐったりだ。
「疲れたねー!動きづらいから余計に疲れちゃった!」
「うん、そうだねー。」
「…?めぐみちゃん大丈夫?」
「?なにが?」
「…怒ってる?」
拭き終わったグラスをしまうためにお盆に乗せていると、梓さんが私の顔を覗き込んできた。
「私が?怒ってないよ?」
「…そう?ならいいけど、何かあったのかと思った。」
「ううん?忙しくて疲れちゃったせいかなー。」
「そっか。もう閉店しないとね。」
「看板は閉まっておきましたよ。」
安室さんが顔を出しそう言った。
「よーしじゃあ、三人でパパッと締めちゃいましょうっ!」
「いいですが…梓さん彼氏さん大丈夫ですか?」
「あ、そうだよ。花火見に行くんでしょう?」
「いいよー!三人でやった方が早いから。」
「わたしと安室さんで十分だから行っておいで?ほら、着付けし直してあげる。髪の毛も。」
「…めぐみちゃん。」
「えぇ、僕とめぐみさんでやっておきますから。せっかく可愛くしたんですから見せてきてあげてください。」
「安室さんまで…!いいかな…行ってきて。」
おずおずという当たり本当に可愛い。
「うん、決まり。」
そう言って、私は帯の歪みや緩まった腰ヒモなどをキツく締め直してあげた。
髪の毛も最終チェックをして、梓さんを彼氏の元に送り出した。