第76章 カップ
片手で顔を覆って、そっぽを向く降谷さん。
「ご、ごめっ…勝手に……」
コータさんにぜひ呼んでみろって言われて名前で呼んでみたけど、まさかこんな反応するとは思わなかった。
「…反則だろこんなの。」
「え?」
よく見たら金髪の隙間から見える耳が真っ赤だ。
もしかして、照れてくれてる?
いつも揶揄われて、私ばっかり顔を赤くしているから、今ばかりは悪戯心に火がついた。
すすーーっと近寄り、そっぽを向く降谷さんの頬に顔をよせた。
「いつもありがとう。私にとっては世界で一番優しい人だよ。零さん。」
「おまっ…!ったく。」
降谷さんは私を引き寄せ、膝に座らせた。
「お風呂に入ってないから出来れば抱きしめたくなかった。」
「…っ」
それから降谷さんはちゅっと頬にキスを落とし、これでもかってくらい,強く強く抱きしめたい。
「やっとめぐみに触れられた。癒される……。」
降谷さんはふぅーっと息を吐きながら、私の頭に顎を置いた。
私は降谷さんの胸に手を置き、見上げた。
「癒される?これだけで?」
「うん、頑張れる。」
「怪我とかしてない?ずっとここだったの?」
「いや、実は脇腹撃たれた。」
「はぁ!?え!?見せて!大丈夫なの?」
私は慌てて椅子から降りて、降谷さんの前にひざまずき、膝の間に入ると、シャツを捲り上げた。
撃たれたってどう言う事!?
「いや、かすっただけだから。」
「それでも…!」
「ちょっ、めぐみ。その体制はまずいから。大丈夫。大したことない。」
ガチャ
「降谷さんにリストを急げって言われたんだろう。なら、早く持っていけ。何を廊下ウロウロして…」
「いや、風見さん!今はまずいって……あー…ほらぁ…もう。」
「……」
「……」