第76章 カップ
降谷さんの膝の間にひざまずき、シャツをまくる私は、メガネをくいっとあげて震える風見さんと目があった。
「鍵閉めとけっていっただろ…!」
「ちが!怪我みようとしただけで…!何も!何もしてない!」
慌てて立ち上がり、私は手と首を振った。
「す、すみません。降谷さん。まさかめぐみさんが、いらっしゃるとは…。」
「いや、本当に怪我を見てただけだ。それで、リストは?」
「あ、これです。」
シャツをキチンとズボンに入れながら降谷さんは立ち上がり、風見さんの元に歩いて行った。
私も赤くなった顔を必死で抑えながら、コータさんの横に立った。
「鍵…忘れてた。」
「忘れんな。ビビったわあんな体制。おっぱじまってんのかと思ったわ。」
「始まるか!にしても、降谷さん切り替えはやい…」
「それがすごいところよ。…帰るか?」
「うん。あ、荷物まとめてくる。プレゼント貰ったんだー。」
「そ、よかったな。」
大切な話をしてそうな二人の会話はあまり聞かないようにしながら、ティーカップをきれいに包み直し荷物をまとめると、降谷さんがこちらを見た。
「めぐみ、ありがとう。来てくれて。」
「ううん、またシフト教えてね。合わせるから。」
「あぁ。」
風見さんにもう一度会釈して、私は部屋を後にした。