第7章 休んで
風が強く窓が少しがたがたと音がする程度で、店内は静まりかえっていた。
棚の中を拭いたり、コーヒーで少し色がついたコーヒーカップの漂白をしたり。
バックヤードからは安室さんの作業の気配。
ちらりと覗くと100膳入りの三袋あった割り箸があと少しで終わりそうだった。
早い…。
「安室さん。パスタとハムサンド、どっちがいいですか?」
「うーん…昨日結構ハムサンド食べたので、今日はパスタですかね。あ、僕作りますよ。」
「安室さん早番だったので、私作りますよ。」
安室さんのことだから、いや僕が作る!とさらにいいそうだったので、返事を待たず、さっさとお湯を沸かして、パスタ作りをスタートさせた。
ナポリタンにしようと、野菜やベーコンの準備をしていると、案の定、僕がやる。と安室さんが隣に立ってきた。
「次は夏目さんが座って休憩しててください。」
「安室さん、箸袋終わったんですか?」
「もちろん。なので、僕が作りますよ。」
「あ、じゃあ、安室さんは昨日考案した完璧なハムサンド作ってください。パンも蒸し器で蒸したふわふわのやつで。それ私が食べますから。ね?」
私が横に立つ安室さんを見上げると、納得したようににっこりと、笑った。
もくもくと何故かお互いのお昼ご飯を作りながら、お湯につけたレタスの水気を切っていた安室さんが口を開いた。
「夏目さんは、彼氏とかいるんですか?」
「いませんよー。安室さんは?」
急な恋バナにびっくりしたが、こう言うのはサラッと流して相手に振るのが最適だと思う。
なんでいないの?いつから?とか聞かれてもめんどくさいからだ。
「僕もです。」
「そんなにイケメンなのに。選り好みしてるでしょう。羨ましい。」
「選り好み…はしてないですよ。ただ、忙しいので…」
イケメンでモテるってことは否定しない。
まぁ、さんざん周りから言われてるからいちいち否定もめんどくさくなるだろうな。
「確かに安室さんは本当に忙しそうですもんね。探偵業、結構繁盛してる感じですか?」
「お陰様で。毛利先生にも色々勉強させてもらってますしね。」
そんな他愛のない会話をしながら、出来上がった料理を二人でバックヤードで食べる。
お客さんが来たらお店のドアに鐘があるし、二人でバックヤードで食べても問題ないだろう。