第66章 二人を見守りたい(風見さん視点)
夕方、降谷さんは彼女を呼び出し、部屋で準備をし始めた。
降谷さんから説明をするだろう。
自分は二人の邪魔をすまいと、部屋には入らずいつでも行けるよう他の準備を始めた。
大きなバンに監視カメラのモニターや色々機材が積んであるのを、不備がないかチェックしていく。
そろそろ出発しないといけない時間だと。二人を呼びに部屋に向かった。
ノックをしようとドアに手を上げると、部屋の中から二人の話し声が聞こえた。
聞いてはだめだとわかっててはいてもつい聞き耳を立ててしまった。
『めぐみ。』
『はいっ。』
『無茶させない。怪我もさせない。絶対に僕が守る。』
『…はいっ。よろしくお願いしますっ。』
…。
降谷さんの強く真剣な声に、何故か自分まで震えてしまった。
それから、二人をバンまで案内して、車に乗せると自分の運転で倉庫の近くまで向かうことになった。
出発前、確認することがあるとバンから降谷さんが出て行きめぐみさんと二人きりになった。
総長の格好をしていると言うのに、表情はキリッとはしておらず、いつものめぐみさんだ。
あまり緊張はしていないようにみえた。
「めぐみさん、すみません。こんな大役。」
「いえ。全然。」
「降谷さんは……。」
「はい?」
「降谷さんはずっと反対してたんです。貴方に今回こんなことをさせてしまうことを。何度も何度も上に掛け合ってました。」
「ーーーそうなんですね。」
「自分達下っ端は命令に従うしかできない。ですが、我ら公安は必ず貴方に危害が加わらないよう……。」
「風見さん。違います。1番の目的は密輸組織のボスの逮捕です。…ほんっと、皆さん優しいんだから。」
へらへらっと笑うめぐみさん。
バックミラーから見えるめぐみさん。総長の格好とメイクでその笑顔はなんだか不釣り合いだと思った。