第65章 日常と非日常
案内された部屋は1番最初に来た部屋。
降谷さんの机がある部屋だ。
中に入るといるのは、スーツ姿の降谷さんだった。
「急に呼んで悪いな。」
「いえ。」
すごく真剣な顔だ。
「まためぐみが総長として彼と会ってもらって、油断したところを逮捕するってことになった。」
「…はい。」
「いいか?」
「はい。大丈夫です。みんなの前で緊張はするけど。」
「…囮のような形になる。」
「大丈夫です。さっき昨日の会議室にすこしだけ入りました。皆さんすごく強そうでした。」
スーツの強面の男性たちを思い出してくすくすと笑った。
「…めぐみ。」
「大丈夫。」
真剣な降谷さんは少し困ったように眉を寄せた。
「貴方の役に立てる。それだけでいい。」
昨日気づいてしまった欲望。恋人役は出来ても、本当の恋人にはなれないーーー…。
だけど。
せめて貴方の役に立たせて。
私は降谷さんの手にそっと指先を添えた。
「…。」
「まっかせて。何人の手下従えてきたと思ってるの。今日はあんな怖いおじさんたちを手下にして、護衛してもらえる。それってわくわくしちゃう。」
「ふふ。怖いおじさんって。」
「それに1番強い降谷さんも来てくれるんでしょ?」
「あぁ。もちろん。」
「ほら、何も怖くない。」
実際本当に怖いとは思わなかった。
なにをすれば良いのか、まだわかっていないからかもしれないけれど、自然と上手くいくんだろうなって思った。