第59章 匂い
朝のオープンの準備も終え、モーニングのラッシュも過ぎたころ、梓さんが私のパソコンのところにきた。
「めぐみちゃん、コナンくんが呼んでるよ。」
「コナンくんが?」
何かしでかしたかな…また、赤井さん絡み?
あ、そういえばバタバタして荷物まだ置いたままだ。
今日の夜からまた忙しくなるし、取りに行くのは当分先になりそうだ。
そんなことを考えながら、カウンターに向かうと、一人ぽつんと座っている。
「めぐみさん、こんにちは!」
「いらっしゃい。どうしたの?」
「有希子さんのアクセサリーの件なんだけど、あげるって。」
「え!?だめだよ!絶対返す!!」
「うん、めぐみさんならそういうだろうと思って僕が預かっておくよ。会った時に返しとくね。」
なんちゅー事言うんだ工藤家って思ったけど、息子はちゃんとした子でよかった。
勝手にオレンジジュースをカウンターに置いて、お礼を言った。
「ジュースありがとう。ところで…」
と、声を小さくして顔を寄せてくるもんだから、私もカウンター越しに耳を近づけた。
「あの水族館の一件、あの後のこととか安室さんから聞いたりした?」
「まさか。あの人が一般人の私に何か言うと思う?」
「やっぱり教えてくれないかー。めぐみさんならもしかしてって思ったんだけど。」
「ははっ。」
「キュラソーって知ってる?」
「あー、それはねー…うーん。知らないって言っとく。」
「それは知ってるって事じゃないの?」
「えー、だって、ここで話すと赤井さんや安室さんからの信頼無くなっちゃう。私からじゃなくて二人から聞いて。私は二人以上のことは何も知らないから。」
「ちぇー。」
「たぶん、コナンくんの方が知ってると思う。私は横にいただけだから。」
「そっか。あの後どうなったのかとか気になるんだよなー。」
「それは私も知らないかな。」
…なんかコナンくんも小学生っぽくない話し方になってない?大丈夫?
オレンジジュースじゃなくてコーヒー出そうか?