第6章 研究
「夏目さん。」
「はいっ!」
先程の急接近にドギマギして声が裏返りそうになった。
また後ろを取られないように私はじっと安室さんに向き合った。
「マヨネーズ、混ぜすぎて泡が出来ちゃってますよ。」
シャカシャカシャカシャカ。
「わ、わ。ごめんなさい!あ、安室さん。からかってます?」
「何のことですか?」
くっそー!
絶対わかってやってる!
この胡散臭い笑顔が全てを物語っている!
にこっと笑ってくるので、私もにこっと微笑み返しておいた。
マヨソースもできたところでまずは試食だ。
試作品第一号は、腹いせにマヨソースを普通よりたくさんつけたものを安室さんに。ちゃんと作ったものをお店で仕事してる梓さんに包んで渡そう。
もうすぐ閉店時間なので、まかないで持って帰ってもらうことにした。
「結構時間かかっちゃいましたね。」
梓さんのサンドイッチをラップで包んでいると安室さんが言った。
「お客さん結構いてスタートが遅かったですからね、安室さんもお店閉めたら帰っていいですよ?続きはまた今度にしましょう。」
「え?今日やってしまいましょうよ。夏目さん用事ありますか?」
「ないですけど…安室さんは?平気?」
「平気です。今日の晩御飯はハムサンド祭りですね。」
梓さんは友達と約束があるからと、閉店後は帰ってしまい、静まり返った店内は真っ暗。
バックヤードだけ明るくなって、二人きり。
あれ?二人きり?
何度かあるけど、さっきのことがあるからなんか恥ずかしいぞ!
この歳で二人きり恥ずかしいとか、高校生じゃあるまいし!
仕事!仕事!
動揺しているところを安室さんに悟られでもしたら、絶対ニコニコ笑ってくるに決まってる。
あの胡散臭い笑顔は苦手だ!