第57章 捕まってて
「お邪魔します……。」
いつもいつもいつの間にかホテルに連れてこられてたり、『そういう』流れになっていた。
あれ?私軽い女みたいになってる。
だから、こうやって泊まりの準備をして家にお呼ばれってなると、すごく気恥ずかしいというか、どんな顔していたらいいのかわからない。
いつもよりすこし大きな荷物を持って、キッチンに立つ。
前はなんだかバタバタして意識していなかったけれど、この部屋安室さんの匂いでいっぱいだ。
鼻から吸って深呼吸。
「前もそうやって僕の服嗅いでた。」
キッチンに立つ安室さんが呆れた顔でそう言った。
ここはアルバイター兼探偵の安室透の部屋だと言った。
それなのに、スーツ姿の安室さんが立っているとなんだか部屋が狭くミスマッチに見えた。同じ人なのに。
じーーっと見てると視線を感じたであろう安室さんが眉間に皺を寄せた。
「何?」
「安室さんと降谷さんの違いが凄くて演技すごいなーって思ってました。」
「店員さんの方がいい?いつでもなりますよ?」
ニコッと笑って私が持ってきたポアロのサンドイッチをお皿に盛り変えて机にコトリと置いた。
「ひぇ、どうお話ししていいのかわからなくなります!」
「いやだな、どんな僕も僕だと、貴方が言ったんじゃないですか。どうぞ、召し上がれ。僕の昨日の作り置きですみませんが…」
にこにこにこにこ。
最近は『キミ』やら『お前』なんて言ってた人が『貴方』なんて言われるとむず痒いっ!
「つ…作り置き。すごいですねっ!あの…えと…いただきます…。」
「どうぞ。」
にこにこにこにこにこ。
た、食べづらい。
「これ煮物…美味しい。久しぶりに食べました。」
「作らないんです?」
「う、うん。一人だと量が多くなっちゃうから。賄いもあるし…」
「めぐみさんはほぼ毎日ポアロいますもんね。」
「…はい。」
スーツでニコニコ笑って、見つめられると違和感しかなくて、私まで態度がたどたどしくなってしまう。
ちらっちらっと安室さんを盗み見る。