第57章 捕まってて
安室さんの車に乗り込み警視庁から遠ざかっていく。
「あの…ごめんなさい。」
「何が。」
「貴方に触れたとか…みんなの前で口を滑らせてしまった。」
「いや、別に風見達の前で電話したり話をしたりしてたし。最初からそこまで本気で隠してない。まぁ、明言もするつもりもないが。」
「…。」
「コナンくん達にも色々言われたんだ。一緒にいるだけでもう『そういう』雰囲気は出てしまってるんだと思う。」
「…なんか恥ずかしい。普通にしてるつもりなのに…。」
スーツ姿でハンドルを握る安室さんにまたどきりとして、私は窓の外に視線を移した。
ポアロの前に車を停めてくれたので、私はシートベルトを外そうと手をかけたら上から安室さんの手のひらが覆い被さった。
「?」
「着替えとかメイクとか泊まれる準備持っておいで。」
「…えっ。」
「ここで待ってるから。」
「あっ…え?でも…」
なんで、少し優しい口調なの!?
逆に怖い…!
あわあわとしていると、その手をぐっと引かれ顎を掴まれた。
「さっき気持ち良くなったのめぐみだけだろ。こっちはずっと我慢してるんだ。」
「ひぇっ…てか!勝手にしたんじゃないですかっ!」
「僕の机に座って嬉しそうにしたりするめぐみが悪い。」
「うっ」
バレてた!
「ほら。はやく。毛利先生達に見られたらやっかいだ。」
結局こうやってなんだかんだで言うことを聞いてしまうのだ。
カバンに色々敷き詰めて私は下にいる安室さんの車に戻った。
…お泊まりだ。
やっぱり安室さんの家だろうか。
この前は怪我の治療のためだけにいったようなものだから、その時の緊張とはまた訳が違う。
「腹減ったな。」
「あ、ポアロのサンドイッチならあります。帰りに皆さんにって思ったんだけど、慌ててて渡すの忘れてました。」
「…いや、公安の捜査官は初対面の人間からの食べ物はきっと口にしない。それは僕が貰うよ。」
安室さんからの信頼はあるんだなって当たり前だけどそう思ってすこし嬉しくなった。