第50章 黒い夢から覚めて
「もう少し…泣きながら僕に抱きついて『帰ってきてくれてありがとう!』ってするのかと思った。」
安室さんの両頬を包むわたしの右手を握り、安室さんはそう言った。
「わたしもそうなると思った…でも、それ言っちゃうと『心配かけてごめん。』ってならない?心配はこれからもきっとする。けど、負担にはなりたくない。今回は安室さんは私が言った通り、無茶もいっぱいしてきて、怪我もいっぱいしてきて、頑張ってきて、そして生きてる。うん。いい子。」
怪我をしている頭をわしゃわしゃと撫でた。
「いたたたっ。」
「頭の傷は自業自得でしょ。」
「爆弾のことを知る前だったし、敵も来る前だった。ちょっと観覧車の上でFBIを追い払おうとしただけだ。日本のことは日本の優秀な捜査官だけでいい。なのにあいつらでしゃばって…」
最後の方はぶつぶつも文句を言い始めた。
「それでも!赤井さんがいないと怪我だけですまないこともあったでしょ!」
「…くっ。」
「もちろん逆も!安室さんがいなかったら犠牲者はきっとたくさんいた。」
「……。」
見下ろしていた安室さんの頭をぎゅっと抱きしめた。
「あそこにいた沢山の人を勝手に代表して、安室さんにお礼を言うよ。助けてくれてありがとう。沢山救ってくれてありがとう。……お疲れ様。」
「…あぁ。」
「そして、おかえりなさい。」
「…ただいま。」