第48章 黒い夢【1章】
「何故俺があの男のためにこんなことを言わなくちゃいけないんだ。恋のライバル、というのに。」
「こっ!何言って!」
膝の上に置いていた私の手を赤井さんは握りしめてきた。
「この前は譲りはしたが、諦めたわけじゃない。」
「…っ!」
「すこしでも隙があれば、奪い去りにいくさ。」
ぐっと引っ張られ、私の指先に口を寄せてきた。
「隙っ!ないです!パンパンです!」
「ふふっ。」
腕を引き、赤井さんから逃れると、ドアのぎりぎりまで身体を寄せた。
「早くっ!帰りましょう!」
「わかったわかった。」
シリアスな雰囲気だったり、急にふざけたり…赤井さんは本当に掴めない。
チラリと赤井さんの横顔をみたら、私の視線に気付いたのか、また話し始めた。
「あれだけの男を失うわけにはいかない。今回は君の奪い合いは休戦だ。何かあれば助けてやってくれ。」
「…奪い合いって…。まぁ、私にできることはなんでもします。」
■□■□■□■
赤井さんに再びポアロの前に送ってもらって、自宅に帰ってきた。
まさか、安室さんにこんなことが起こっていたなんて…。
黒の組織に公安だとバレたら殺される…?安室さんが?
逃げられないのだろうか。私みたいに、もう逃げて逃げて隠れちゃえばいい。
正義感のつよい安室さんはきっと逃げたりしないんだろうなーー…
安室さん…今どこだろう…
お願い。どうか無事でーー…
『無茶せず、怪我したら、いつでも来てください。安室さんならきっとうまくいきます。(返信不要)』
私にできるのはただ、メール送って祈るだけ。