第38章 そんなの知らない【2】
あんな事があって、やっぱりダメージがあったのだろう。明け方近くまで眠る事が出来なかった。
結局色々ずっと考えて今まで通り何も変わらず過ごす。ということで落ち着いた。
安室さんはあんまり私には隠す事なく、フルヤレイさんとして振る舞うこと多い。
喫茶店のお仕事に
警察のお仕事に
黒の組織での役割りに
沢山の顔を持つ安室さんが言っていた『本当の僕に』なれるのなら、私にとってこれ以上のことはない。
「なんだか…無性に会いたいな。」
少しずつ明るくなってきたカーテンに向かってポツリとつぶやいた。
「おはよーございます。」
お昼過ぎて、三日ぶりのポアロだ。
こんなに休んだのは初めてだ。
裏口から入ってロッカーに向かうと、そこには安室さんが立っていた。
「あ、めぐみさんも今からですか?」
「安室さんっ…!」
「…そんな驚きます?」
昨日の夜、あの後テロ組織の人たちと会って逮捕とかしてたんだよね?
今日はさすがにお休みだと思い込んでいたから、いることに予想以上に驚いてしまった。
安室さん…寝た?大丈夫…?
「あー!二人ともお疲れ様!助かったよー!来てくれて!」
バックヤードに顔を出してきたマスターが私たちのところに来ていった。
「めぐみちゃん体調平気?」
「はい。すっかり元気です。お休みをもらってありがとうございました。」
「めぐみちゃんが今まで在庫管理や発注やらを完璧にしてくれてたのが身をもってわかったよ…。足りないものが沢山あるんだよー。」
「あらら、すぐ発注かけますね。」
「ありがとう。俺は今日必要なものを買ってくるよ。買い出しなんて久しぶりだ。」
「あ、僕行ってきましょうか?」
お店から買い出しのために出て行こうとするマスターに声をかける安室さんにマスターは首を振った。
「ちょっと他の買い物あるから大丈夫。梓ちゃんが一人だから手伝ってあげてー。」
「はい。わかりました。」
バタバタとマスターは裏口から出て行った。
「……。」
「めぐみさん。」
「は、はいっ!」
声が裏返ってしまった。
後ろにいるはずの安室さんを見る事が出来なかった。