第36章 目隠し
「じゃあ、私は?そのゼロの名前を聞き出した後、何すればいいの?」
「姿を現させる。」
「…それだけ?」
顔見て終わり?もっと殺してやりたいくらい憎んでるのかと勝手に思ってた。
「ゼロにとってはそれが最高の屈辱なのさ。警察内でも名前も素性も明かさない、ないものとされている組織。それをリーダーのいない小さくなったテロ組織に暴かれる。最高だよ。」
「…そう…なんだね。」
そんなことのために爆弾をつけられ多数の死者を出したのか…?
震えそうになった身体をぐっと我慢した。
ここで私が感情的になってしまったらだめだ。
私は彼に協力する無力で無知な女なんだと思わせないと。
「俺たちの組織はもう終わりだー…。リーダーはいないし、あいつももういない…最後に足掻きたいだけなんだ。公安の奴らを一泡吹かせたい。」
「…私は交渉さえうまくいけば私は解放してくれる…?」
「そのつもりだ。」
「公安は警察なんだよね…?」
「あぁ。」
「…私は警察に捕まるわけにはいかないの。保護されたくない。」
「なに?」
「ちょっと昔に色々ね。協力はする。演技でもなんでもする。公安がどうなろうと私はどうでもいいもの。ただ、交渉する時すこし声を変えたい。解放は警察の元にするんじゃなくてその辺に投げ捨ててくれたらいい。」
「お前…。なぜ警察に追われてる。」
「追われてるわけじゃないの。戸籍も何もないし。昔私もある組に所属してただけ。そこで色々した。もう組は解体したのだけれど…」
「…もしかして浅原組…か?」
「…そう。」
「戸籍のない…変幻自在の女…孝臣さんとこの…」
ポツリポツリと小さく呟く声が聞こえ、私は背筋を伸ばした。
「孝臣さんを知ってるの?」
「お前だったのか。知ってる。聞いたことあるだけだが。…すまない。君がーー…」
そう言って、男は目隠しを取ってくれた。
2日ぶりの外の明るさ。
あまりの眩しさに目を開けることができず、しかめてしまった。