第36章 目隠し
目隠しを取ってくれた男は私より少し年上で思った通り若い男だった。
私と同じくらいの背の高さだろうか、髪の毛はきちっと整えられて身だしなみも綺麗にされていた。
「名前は?」
「…警察にバラされたら困るからいいたくないなぁ…だめ?」
「じゃあ俺も名乗らない。」
「うん。そうしてくれると嬉しい。」
彼は終わった後きっと自首か自殺がしらないけど終わらせる気だろう。
なんとなく清々しい表情をしていた。
「見た目の弱そうな女を適当に連れてきたんだが、まさか孝臣さんとこのだとは…孝臣さんは元気か?」
「たぶん。最近あんまり連絡してないの。」
「そうかーー」
部屋に響いた携帯の音。
それを確認すると私の腕を縛っていた縄を解いた。
「出番だ。」
ドキッとした。
「相手は警察の中でも優秀なやつだけが集まる切れ物のなかの切れ物。ばけもんみてーな奴らだ。声色一つで色々読み取る。ほらボイスチェンジャーのアプリだ。だが、若い弱そうな女だと思わせたいからそんなに変化させないからな。」
「わかりました。弱そうに演じます。」
「3人目も上手くやったらしい。ゼロの名前を一人確認できた。そいつを電話に出てくるようにしたい。」
「はい。」
「ゼロの名前は…『フルヤレイ』今はまだ表に出てきてない。裏で恐らく指示を出してるはずだ。」
「『フルヤレイ…』」
公安のえらい人ーー…
携帯を二つ渡された。
一つはスマホの画面で文章がつらつらと打たれてた。
一つは通話中。まだこちらのマイクはオフになっている。
もう一つ。
彼の私物の携帯だろうボイスチェンジャーのアプリを起動したスマホが近くに置かれた。
…緊張する。
携帯の先には公安の人ーーー…。
私はマイクを切り替え耳に当てると、スマホに書かれた文章を読み上げた。