第36章 目隠し
「公安ってじゃあすごい警察ってこと?」
「日本のスパイみたいなもんだ。」
「日本にもいるんだー!すごーい。」
「そいつらのせいで、俺たちのリーダーは捕まった…!」
「あ…そうか…じゃあ、そのリーダーの解放を交渉すればいいの?」
「違う。」
違うのか。
今の感じだとリーダーの解放かと思ったのだけれど。
じゃあ、彼らの目的は一体なんなのだろうか。
あまりぐいぐいと聞きすぎては、怪しまれるかと思って、お兄さんが話してくれるのを待った。
目隠しのせいで相手の表情がわからないのが難点だ。
「一度捕まったらもう無理だ。そんなことより公安が許せねー。一人…仲間だと思ってた男が公安だった…!あいつのせいで俺たちはもうダメだ!!最後に公安のやつらに復讐してやるんだ!」
仲間だと思ってた…
兄貴のように思ってた…
裏切りやがった…
と、ブツブツ呟ている。
日本のスパイが、彼らのテロ組織に潜入捜査を行っていたんだ。
これだけ言うってことは、本当にテロ組織になりきって彼らの懐に入り、仲良くなってたんだろう…。
彼らテロ組織がいったいどんな犯罪をしてきたのか全然知らないけれど、兄貴だと思って人がーーって思うとなんだか切なくなった。
その公安の人もどんな気持ちなんだろうか。
やっと悪を捕まえられると喜んで彼らを逮捕できるのか、
何年も潜入を続け、情が生まれてしまうのか、
私には想像もできないーー…。
「一人目の人質でゼロの存在を明らかにできた。」
「…ゼロ?」
「流石にゼロは普通の一般人でも知らない筈だ。ゼロは日本全国の公安に指示を出せる限られた組織だ。」
「すごい、日本って意外とそういうのあるんだね。お巡りさんと自衛隊くらいしかいないんだと思ってた。」
「…本当馬鹿だな。」
目隠ししててもわかるぞ。今絶対呆れた顔してる。
「二人目の人質は失敗した。身体中に爆弾巻きつけられたまま街中で周りを巻き込んで爆発した。」
「…」
周りを…?
死者が沢山出たのだろうかー…
「三人目でゼロの名前を聞き出す。スパイにはスパイだ。俺たちも警察官を金で雇ったやつがいる。そいつにゼロの容姿は聞き出したんだ。刑務所内のリーダーと面会した時にな。」