第4章 裏のお仕事
夜の10時にマスターのところに行かなくてはいけない。
あまりに遅くなるようなら、安室さんには悪いが上着は諦めてもらおう。
パソコンで、埋めることが出来る日だけでも、とシフト表を作っていると、裏口を開ける音がした。
「夏目さん!すみません!」
「いえ、安室さんこそ大丈夫ですか?」
「僕は何とも。」
「上着、届けても良かったんですけど、ロッカー勝手にあけるの悪いなって思って、…寒く無かったですか?」
「ずっと室内でしたので。本当にすみません。すこし事件があって、その被害者の女性を毛利先生たちとみんなで僕の車で送って来ようかと思っているのですが。」
「はい。いってらっしゃい。ご苦労様。」
被害者の女性…?
じゃあ、さっき運ばれたあの亡くなった人は?被害者じゃないの?生きてる?
うーん、推理できないからまったくわかりません。
「ここで待ってますか?」
「え?何を?」
「いえ、上で事件あったの怖くありませんか?送ったあとまた帰ってくるので、家まで送りますよ。」
「大丈夫です!ほんっとすぐそこなんで!上で何があったのか知らないんですけど、犯人逃げてるんですか?」
「いえ、自殺でして、女性を拘束していたようです。」
「じゃあ、何の危険もないですし、安室さん行った後、遅くなる前に帰ります。拘束されていた女性の方が心配です。送ってあげてください。」
「ずっと僕を待っててくださったんですよね。ありがとうございます。」
眉を下げ、こちらを見る安室さん。
うーん、とってもイケメンっ!!
いつも、すみません。という安室さんよりやっぱりお礼を言ってくれた方が私としても嬉しい。
「無茶して怪我しないように。」
いつぞやの腕のような怪我をしないやうにと、安室さんの怪我の後をポンポンと叩いて、安室さんを送り出すように、裏口を開けた。
「そしたらまた包帯お願いします。」
「しません。怪我ダメです。」
「ははっ!では、いってきます。」
ある事を思い出して、安室さんの手を取った。
「ちょっとまってください!」
そういえば作ってたんだ!
安室さんのまかない!
「これ、まかない。毛利先生たちの分まではさすがにないですけど…帰って食べてください。」
「ありがとうございます、では、今度こそ。」
上着を着た安室さんは、いつものように爽やかに車をとりに走っていった。
