第34章 遠ざかる
また連絡する。と、去っていった赤い外車を見送り私は自宅に急いだ。
赤井さんはやっぱりコナンくんと組織を追う仲間同士だったようだ。
本当に私の記憶力なんて全然機能してないから困った。
小さい頃の記憶に残るバスジャックの時に乗っていた悪役面の赤井さんは味方。
コナンくんの正体も知っているのだろうか?
灰原哀ちゃんの正体とか…
赤井さんの立ち位置がハッキリとわからない以上誤魔化すのが苦手な私は黙っていたほうがいいだろう。
…組織のことを知ってるってバレてしまったのは本当にしくじりだった!
こんなことがあるからやっぱり私はあまり話さないで隠れてたほうがよかったんだ。
自宅に戻りシャワーを急いで浴びた。
自分の身体を見たーー…。
胸元にはいくつかシルシがつけられていた。
…赤井さんだ。
記憶を無くして抱かれるなんて、なんてことをしてしまったんだ。
酔っていたんだ、嫌がりもせずきっと喜んで赤井さんを受け入れていたんだろう…
「はぁぁーー…」
安室さんの顔が頭に浮かんだ。
わかってる。
別に安室さんは私の恋人ではない。
『気持ちを伝えることが出来ないことを許して欲しい』
…初めて安室さんに触れた時に言われた言葉だ。
ハッキリ覚えている。
私もそうだから。
私も伝えられないーー…
いつ消えるか分からない身体で恋人になって欲しいなんて言えるはずがない。
「それでも、やっぱり特別だよ……」
シャワーを頭から浴びながら呟いた。
好きだなんて言えない。好きになってなんてもっと言えない…
ーー…それでも。