第34章 遠ざかる
再びタバコを吸い込み、先が赤くなる。
「探偵…?彼がただの探偵だといまだに思っているのか。」
「…名探偵?」
「確かに驚異的な推理力ではあるな。」
コナンくんだって、ただの探偵じゃないし。
それにあれだけ忙しい安室さんだ。
何かあるのだろうとは思っているけど…
「実は赤井さんみたいに皮かぶってる?」
「く、ははっ。顔は変わらんだろうな。」
「…よかった。」
べりっと顔が剥がれるのは見たくない。
「まぁ、めぐみは安室くんから話してもらうのを待つんだろう?」
「私は別に…なんでもいいんだと思います…」
「なんでも?」
「赤井さんや安室さんや他の誰か蘭さんや小五郎さんでも…誰かがもし組織の人であろうと別にいいかな…。私にとってはみんないい人で皆好きです。」
「待て。」
「え?」
「組織…?」
「…っ!」
タバコの火を灰皿に押し付け、赤井さんは私を探るように見つめた。
いや、睨みつけたと言った方がいいかもしれない。
それほどまで強く見られた。
「どこで知った。何を知っている。」
「…あっ…えと…」
「安室くんが話したのか。」
私は強く首を振った。
「ちがっ!安室さんは絶対に私には何も言いません!」
いつも教えてくれない。
笑って誤魔化して、探偵業ですってあやふやにして、他言無用って中途半端にチラつかせる。
本当は全部知りたいなんて、私も口が裂けても言わなかった。
「なら、なぜ組織のことを知っている。今の話の流れだと同じ組織を考えているだろう?」
沢山ある犯罪組織のなかで、思い浮かべたのは黒の組織のことだ。
「い…いえませんっ!」
「何故だ。」
「自分の身を守る為です。だって、私は赤井さんがどれだけ組織のことを知っているのか知らないですから…」
「…。」
「それとも全部私に教えてくれますか?」
「…。」
黙って探るように私の目から逸らさない緑の瞳。
これ以上喋るとボロが出そうだからもう黙らないと。私は頭が弱いから、矛盾が出てしまいそうだ。