第32章 チョコレート
米花はどの辺りだろうかと、柵に手をかけ見ていると、赤井さんが後ろに立っていることに気がついた。
…近いっ!
柵の左右には長い腕があり、閉じ込められているようだ。
一気に身体に緊張が走って固まってしまった。
どうしたからいいのか頭でグルグル考えるがパニックだ。
「…メガネ。」
「ひゃっ!」
耳元で低い声が急に響き飛び跳ねてしまった。
「見るのに邪魔だろう?」
そう言われ、メガネを取られてしまった。
「あっ!」
振り返ると、思った以上に赤井さんの顔が近くて柵に身体を押し付けてしまった。
深い綺麗な緑色の瞳と目があった。
心臓が飛び出しそうだ。
「なぜこんなメガネを?」
「…え…と…」
ダサい方が貴方に相手されないと思ってなんて言えず、口籠っていると頬を指先が撫でた。
「俺が見た目で判断すると思ったか?」
「…あ…」
「まぁ、初めはめぐみのドレス姿から入ったが、こんな小細工しても変わらんよ。」
「…っ」
三つ編みにしていた髪の毛も解かれ、くしゃりと乱された。
後ろには綺麗な夜景。
目の前には赤井さん。
…に、逃げられないっ
「めぐみ…」
「だ、だめ…っ」
頬に添えられた赤井さんの手を握り、俯いた。
「…そんな男性二人を相手にできるほど器用でもないし、やな女になりたく無い…」
「嫌な女だんて思わないさ。君を手に入れたくて必死なだけだ。しかも彼にリードされているから俺も焦っている。」
全然焦ってるようになんて見えない…。
「で、でも…」
「めぐみ。いいから。」
「あかっ……んっ」
無理矢理上を向かされてキスをされた。
赤井さんとは初めてだーー…
だけど、やっぱり昴さんと同じ感じがした……