第32章 チョコレート
柵に押さえつけられ、赤井さんの大きな手は腰と後頭部に回っていた。
「んんっ……やっ」
舌は絡みとられ、犯されていく。
逃げようとしても、舌はどこまでも追いかけてきて撫で上げられた。
膝が震える。
赤井さんの胸を押していた力もだんだんと抜けてきた。
「…はぁ……ん」
「いい目だ。」
ちゅ…っとワザらしく音を立てて離れると、首に顔を埋めてきた。
「やっ…だ、め……んんっ」
ぺろりと舐められ反応してしまう。
「ダメという感じはしないが。」
ふるふると頭を振るが、赤井さんは微笑むだけだった。
力の入らない身体を赤井さんが支えた。
「お願い…っ」
「……。わかった。車に戻ろう。」
「…ひゃっ!」
ぐっと私を抱き上げると、歩き出した赤井さん。
たしかに足に力が入らなくて上手く歩けなかっただろうけど、抱えるなんて!
「そう、ひっつくな。落としはせん。」
「だ、だって!」
驚いてる赤井さんの首にしがみついてしまった。
赤井さんは私を助手席に下ろすとすぐに運転席に戻った。
そして、ダッシュボードの中を漁ると手のひらサイズの箱を取り出した。
「?」
「チョコレートだ。」
「…チョコ?」
「あぁ、いるか?」
「えと…今はいいです。」
緊張してとても口に何か入れられる状態じゃなかった。
ドキドキが止まらないし、足も未だ震えてる。
後でいただきますね。と、伝えると赤井さんはじっと私の顔を見つめた。
「…?」
「すまない。」
「え?」
「これからすることだ。どうやら、俺は彼にどうしても君を取られたく無いようだ。」
「…これから?」
チョコの箱を開けると赤井さんは自分の口に放り込んだ。
そして、そのまま私を座席に押さえつけると覆いかぶせるように口付けた。
「んっ!!!」
大きなチョコだった。
ぐっと、口に押し込むように入れられてどんどん二人の口の間で溶けていく。
たらりと、口の隙間から溶けて落ちるチョコレート。
ウイスキーボンボンのようにチョコの中から液体が口の中に広がった。
「…んっん!!」
逃げようとしたけど、顔をがっちりと固定されていて逃げられない。
コクリ。
この味はウイスキーなんかじゃない。
私の苦手な…日本酒だったーー…
しばらくキスをされた後、私はぷつりと記憶をなくしてしまった。