第29章 真っ白
「お前もさー、女に運転させて恥ずかしくねーのかよ。だっさ。お前みたいな男俺嫌いだわ。なんもできねー、なよなよした男なんだろ?お前。」
バキャっ!
「あっ。つい。」
私は左足で車のサイドミラーを蹴って変な方向に曲げてしまった。
「てめぇ!何しやがるっ!いくらすると思ってんだ!!」
「しらねーよ。こんなダセェ車。金貰ってでもいらねーし。」
「めぐみっ。辞めろ。」
私の肩を持ち静止するが、安室さんのことを何もできないなんて言われて黙っていられるか。
「ちょっと降りてこっちこいよ!!」
「やだね。おとといきやがれ。」
べーっと舌を出して、信号が変わったと同時に急発進させた。
男の車も慌てて走らせてきたが、私のバイクに追いつくはずもなかった。
車が見えなくなるまで走らせて、さらにスピードを上げる。
しばらくすると、海が見える公園までやってきた。
そこの停めて、私たちはやっとバイクから降りた。
やばい…無視しろって言われたのにーー。
怒られるだろうか。
ゴッ。
「いたっ。」
安室さんはヘルメットを外し、私の頭にゲンコツを落とした。
しかし、私はまだヘルメットを被っているため、まったく痛くはなかったが、つい反射的に痛いと言ってしまった。
「まったく、お前は。器物破損だぞ。」
「はーい…」
私もヘルメットを外してバイクに置き、うつむいた。
「にしても……」
まだ、怒られるだろうかと黙って安室さんの言葉を待っていたが、一向に何も言わない。
チラリと視線をあげ安室さんを見ると、肩を震わせている。
「くくっ『おとといきやがれ』なんて漫画でしか見たことないっ。ふふっ」
「…う、うるさいなっ!」
腹をかかえ、ついに大声で笑い始めた。