第29章 真っ白
『今?今はまだ外ですよ。』
「車乗ってる?」
『いえ。』
「じゃあ、そこから一番近い駅で待っててください。」
『…まだ事後処理が残ってますから。』
「うん、ちょうどいい。私も時間かかるから。その事後処理朝までかかるってわけじゃないですよね?」
『まぁ…』
「じゃあ、大丈夫。後で駅の場所メールで教えてください。急がなくていいですからね。会えたら会いましょう。それじゃ。」
言うだけ言って電話を切った。
私は急がなきゃ。
手続きに時間がかかりそうだ。
とりあえず、電話で予約して…お化粧直して…着替えて…
忙しいぞっ!!
■□■□■
結局時間がかかってしまって2時間もたっていた。
どうしようー…安室さん待っているだろうか。
メールで教えてもらった駅のロータリーでキョロキョロとしているが、見当たらない。
まだ来ていないのか、それとも待ちくたびれて帰ったか。
「めぐみさん?」
「あ!よかった!ごめんなさい待ちましたよね!?」
「いえ、僕も意外と時間がかかってしまって、15分くらいしか待ってませんよ。……というか、なんです?」
「ほら!寒いからこれ着てください!風は冷たいから。あとコレ!ヘルメットね!」
「…いや。バイク…?」
「レンタルバイク、手続きに時間かかっちゃって。ヘルメットはインカム付きですよ。ほらヘルメット被って被って。」
「……まさかめぐみさんが運転するとかいいませんよね?」
「まぁまぁ、とりあえず服着てヘルメット。ね?」
呆気に取られながらも言われた通り安室さんはジャケットにヘルメットを被った。
「海と山、どっちの気分ですか?」
「…海かな。というか僕運転しますよ。」
「バイク私が譲ると思う?ほら後ろ。」
私はバイクに跨り、エンジンをふかした。
「…誰かの後ろに乗るのは初めてなんだが。」
「初体験いただきます。ほらほら。」
後ろのシートを叩けば、安室さんはしぶしぶ私の後ろに座った。
「じゃあ、てきとーに海のほうにしゅっぱーつ!」
「バカっぽいな。」
「あ、ヘルメットしててもインカムで聞こえてますからねっ!」
低いエンジン音と共に私はバイクを走らせた。