第26章 あの日の夜に
…バーボン………?
ブルボンだか、シャボンだかフランス語みたいだと思っていた。
あの時…あの夜……あの男たちが言っていたのが…バーボン……?
混乱の中で忘れていた安室さんが呼ばれていた名前。
『あの時何と呼ばれていたか覚えてますか?』
『そのまま忘れてください。』
「バーボンって何ですか?」
震える手を悟られないよう、昴さんに聞くと目があった。
深い緑だ。
「ウイスキーの種類ですよ。知りませんでした?」
「ウイスキー、飲んだことないから…すごい度数が高い茶色いお酒としか…」
お酒の名前…。
コナン君に言われた『安室さんの仲間?』と言う言葉…。
『悪い人』……。
「めぐみさん?」
「…っ。」
「どうされました?バーボンが何か?」
「いえ、飲んでみようか迷ってて。」
「それなら、こちらを一口ためします?」
…平常心を保たないと。
昴さんがどのくらい知っているのか知らない。
コナン君の味方だとは思うけど、黒の組織のことまで知っているのだろうか。
もしかして、今も探られているのだろうか。
私がポアロの店員だから。だから昴さんも私に近づいたのだろうか。
ーーーそうか。じゃないと、こんなカッコいい人が私に近付いたりしないよね。
安室さんのことが知りたくて私に近づいたんだろう。
「…遠慮しときます。日本酒みたいに酔っちゃったら困るから。」
「……。」
カシャ
「…?」
以前聞こえてきたスマホのシャッター音。
あれがまた聞こえてきて、わたしは咄嗟に振り向いた。