第3章 たらこ
「夏目さんは…」
たらこに一通り笑い終えた安室さんは、ふぅと一息つくと、話を変えた。
「いつも、仕事終わりにああやって一人残って仕事してるんですか?」
「いえ、あの日たまたまです。お客さんが入らなかったので、いつもより早くお店閉めて、やってました。」
「すごいですね。マスターが夏目さんに色々任せるわけです。」
「そうですか?」
「先日、お客さんが水をこぼしてしまってメニューが濡れてしまったでしょう?乾いても少しふやけてしまっていましたが、次の日は綺麗に変えられてました。」
「私には、接客や美味しいコーヒー、料理が苦手なので…得手、不得手がありますよ人には。それよりも、そこに気付いた安室さんがすごいと思います。色々細かいことに気がつくすごい人です。」
「探偵…ですから。」
あれ?なんでこんなに誉め合ってるんだろう。照れてきたぞ。
二人でなんか気まずい雰囲気になってしまって、というより、私が勝手に照れて黙ってしまって、やばいーーって心配していたが、安室さんが慣れているのか会話は途切れることなく、無事お店に到着した。
会員証を提示して、大人一人乗れそうなくらいでかいカートを安室さんが押す。
きたきたきたーーー。
やっとこれた!!
「そんな顔もするんですね。」
「え?」
「楽しみで仕方ないって顔です。」
「暇なときパソコンでチェックしてましたからね、私は初めて来たんです。そんな、笑ってました?私。」
「いえ、笑ってはいませんが、目が輝いてます」
まぁ、こんなとこに組織の人なんていないだろうから、隠れるようにポーカーフェイスする必要なんてないよね!
よし、かうぞーーーー!