第24章 秘密
椅子に腰掛けた安室さんの前に跪く。
左側のバスローブをペラっとまくると安室さんの左脚が出てきて、急に緊張し始めてしまった。
左脚の太ももは痛々しいキズ。
これが少しでもズレてたらこれどころじゃなくて弾が中を通っていたかもしれないんだよね…。
「私がいつも治してた傷はいつもこんな風に負った傷だったんですか…?」
「…全てではありませんが。あまり話せません。」
ガーゼに消毒液を垂らし、優しくキズに当てた。
ピクリと動く安室さん。
表情や声に出さなくてもやはり痛いのだろう。
…なんて強い人なんだろうか。
物語の中では次に話しが進めば傷は簡単に治ったかのように見えるけど、本来はそんな簡単なことじゃないよね。
痛いし、つらいし、時間がかかる。
「やっぱり無茶ばっかりしてるんですね…。」
「…大した事じゃありませんよ。」
銃で撃たれることが…?
「…そう。」
なんだか泣きたくなったけど、ぐっと我慢して包帯を巻き始めた。
「あの時あなたは何を見て、何を聞きましたか?」
路地裏でのことを私は順を追ってきちんと話した。
安室さんが踏みつけてたことも、何かわからないが受け取ったこと、そのあと撃たれたこと。
「僕がなんと呼ばれていたかききましたか?」
「…え?あー、フランス語みたいな外国人のあだ名か何か…覚えてないです。」
「フランス語…。本当に覚えてないですか?」
「はい。」
「ならいいです。もし思い出したら教えてください。」
「はい。」
「そのまま忘れるのが一番です。」
「はーい。」
「しかし…フランス語……ふっ」
真剣な顔から急に笑い出した安室さん。
馬鹿にされた気がして私は包帯をぎゅっとキツめに巻きつけた。