第18章 ポアロにて
最後、売り上げ金を金庫にしまい、コーヒー豆の発注をしておしまい。
年末年始はコーヒー豆のお店もお休みだろうから少し多めに頼んでおいた。
まぁ、うちもさすがに大晦日、三が日はお店を閉めるのだけれど。
「おわりましたね。さ、めぐみさんソファにどうぞ。」
「…。」
ぐっと身構える。
しかし安室さんはくすくすと笑うだけだ。
「色々買ってきたと言ったでしょう。近くのスーパーで買ったもので大したものではありませんが、もうほとんど売れてて残り物ばかりでした。お店を予約しようと色々電話もしたのですが、ダメですね。この辺りは全て予約埋まってました。」
色々お店を回ってきて買ってきて、さらには電話もしてくれていたんだ。
「…安室さん…ありがとう。」
「惚れました?」
「…。何買ってきてくださったんですか?」
「話逸らすの雑すぎません?まぁ、いいですけど。」
買ってきてくれたのはスーパーのよくあるお惣菜だった。
ポテトサラダに唐揚げに、煮物に…。
「こんなものしか残ってなくて…」
「ううん、嬉しい。クリスマスパーティーだ。」
完璧をいつも求める安室さんが、スーパーに行って売り場を見た時きっと困った顔をしてたんだろう。
安室さんのことだから何か作ろうともしてくれたんじゃないだろうか。
たった2時間しかないと考えて作るのを断念したんだろうな。
ことりと置かれたのは子供用のシャンパン。
何かのキャラクターが描かれている。
「ノンアルコールもこれしかありませんでした。」
「あっはは!懐かしい!」
買わない、という選択肢はなかったことにさらに笑いが込み上げてくる。
可愛いところもあるじゃないか!
「お昼ご飯も食べられないくらいだったんです。すごく美味しそう。はやく食べましょ。」
お皿に盛り付けるのも時間が勿体無くて私たちはそのまま食べ続けた。
「唐揚げ、おいしー!クリスマスチキンだ。」
「あ、チキン買ってこなかったって怒ってます?」
「まさか!美味しいよ。幸せ。」
「…。」
空腹だった私はあっという間に平らげた。
「んーーー、甘い。」
アイスコーヒーのコップに注がれた子供用のシャンパンを飲んで、安室さんは言った。
「甘くて美味しいよ?」
「僕には甘すぎました。」
そう言ってネクタイを少し緩めた。