第16章 似合う
次の日は私は朝イチからだった。
6:45にはお店に入る。モーニングの準備やアイスコーヒーの準備などをしなくてはならない。
昨日、ずっと大興奮だった梓さんを落ち着かせるのには苦労した。
酔って覚えてないだけで実は…なんて事も言われたが、それは無いと断言した。
さすがに自分の体のことくらいわかる。
抱かれていないのは明白だ。キスマークは想定外だったけれど…
ロッカーを開けて、荷物を入れていると裏口が開けられる音がした。
「あれ?安室さん?今日午後からですよね?間違えました?」
そこにはスーツ姿の安室さんが立っていた。
…笑ってない。
「あ…むろさん?」
まっすぐこちらに向かって歩いてくる。
ギラギラした視線にどきりとしてしまった。
だんっ!!と、開けられていた私のロッカーを片手で閉められた。
大きな音にビクッとして下がったが、後ろはロッカー。
壁ドンならぬロッカードンだ。
「これは?」
そう言ってみさせられたのはスマホの画面。
以前もこんな風に問い詰められた気がする。
「なっ、なんでこれ安室さんが持ってるんですか?」
画面にはバルコニーでの私と昴さん。
下から私の背中を写しているため、角度的には昴さんの手や肩などだけで、顔は映っていない。
だけど、まるでキスしてるように見えるやつだ。
「一昨日梓さんに見させられたんですよ。めぐみさんがこの人とデートをしてくるんだとね。お願いして写真を送ってもらいました。」
あ、梓さーーーーん!!!
「デートというかちょっとお酒飲みに行っただけです。」
「ほぉー。このキスした相手と?」
「え!?いやこの写真はキスしてないんですってば!もう!みんなにちゃんとそう言ったのに!」
安室さんは眉間に皺を寄せスマホの画面を見つめた。
ロッカーには手を置いたままで離れる気配がない。
「この写真を撮った方は園子さんの母。距離…身長…角度…」
ぶつぶつと考え込む安室さん。
「相手の身長は190以上の高身長。よく見ると茶色い髪の毛が見えますね。だれです?」
「この日にパーティーで会った人…です。」
「その人と泊まりのデートですか?」
ホテルに行ったことも安室さんには筒抜けだった。