第144章 ハッピーバレンタイン
なんだかんだで結局私がチョコをつけて、零さんの口に運んでいる。
側から見たら凄まじいバカップルだが…一度やったら恥ずかしさはなくなっていた。
むしろ、次は何を食べてもらおうかと楽しくなってきた。
「変わり種もあるんだー。」
「ん?」
キウイをもごもご食べながら零さんは私の手元をのぞこうとしたが、私はお皿をさっと隠した。
「待って。何食べたか当ててよ。」
「また推理か?」
「そうそう。目閉じて。」
目を閉じたのを確認して私はキッチンからまた別のお皿も用意した。
「見ちゃダメだよ。」
「…変なの食べさせるなよ。」
「ふふっ。」
私は小さな粒を手に取りチョコをつけるとお箸で零さんの口に入れた。
「…んっ?」
「何食べたかわかった?」
「形で簡単だ。商品もでてるしな。柿の種だろ。」
「せーかーい!じゃあ、次はー…これ。」
「…なんだこれ。」
口に含み眉を寄せた零さん。
お好みの味じゃなかったようだ。
「わかる?簡単じゃない?」
「めぐみは事前に食べたのか?」
「ううん、味見とか全然してないよ。」
「食感が…なんだ?チーズ?」
「あたり!香りですぐわかるかと思った。」
「チョコで風味なんて消えてたよ。…変なのつけるなよ。」
「ネットで調べてみたもん。」
「…。」
不満そうな零さんに気付きつつも私は再び目を閉じるよう要求した。
楽しくて仕方ない。
「これとか好きそう。はい、あーん。」
「…やっと“あーん”って言ってくれたのに、なんか嬉しくないな。」
「いいから口開けて?」
「…。」
バレンタインなのに…とぶつぶつ言いながらも零さんは目を閉じて口を開けてくれた。
「…っ?なんだこのシャクシャクした食感。こっちの方がチーズっぽい風味があるが…」
「私も食べてみよ。」
興味本位で私も食べてみたが…好みではなかった。
ごめん、零さん。せっかくの零さんの好きな食べ物なのに。