第144章 ハッピーバレンタイン
食事を終え、テーブルを片付けると私は赤いクロスをテーブルにひいた。
その上にデザートの準備をしていく。
「大掛かりだな。色が気になるけど。」
「この色の方がバレンタインっぽいでしょ。」
「ピンクの方が可愛いんじゃないか?」
「この色でいいの。はい。座る。なに、私からのバレンタインいらないの?」
「…座る。」
すぐ赤色にも反応するから本当に子供だ。
まぁ、わかってて用意しちゃう私も反応をつい楽しんでしまってるんだけど。
くすくす笑いながら、私は真ん中にちいさな鍋をおいた。
「これは?」
「チョコフォンデュでーす。」
「凄いな。」
「食べてみたかったんだ。一人でするのも寂しいし。一緒に食べよ。」
串に刺したマシュマロやイチゴなどの果物を冷蔵庫から出してテーブルに並べるとロウソクに火を灯した。
いつもは向き合って座って食べるんだけど、私はさりげなく移動して零さんの横にぴったりと座った。
「…。」
「ふふ。」
赤くなった私の頬を零さんは察したのか指でつついてきた。
「…別に!隣の方がフォンデュしやすかっただけだし!」
「はいはい。隣で食べような。」
にまにま笑う零さんの足を軽く蹴って私は串のお皿を零さんの前に置いた。
「何から行く?」
「そうだな。めぐみが選んでよ。」
「えー?じゃあ、王道いちごかバナナかな。」
「あーん。」
口を開けて待ってる。
そんなバカップルみたいなことできない。
「鼻の穴に入れる?」
「やめろ。今日くらいいいだろ。せっかく隣に座ってるんだから。」
私の椅子の背もたれに手をやり私の頬にぐっと口を押し当てた。
「…一回だけね。じゃあイチゴ。」
私はイチゴのついた串を手に取り、とろけたチョコにくぐらせた。
「はい、どーぞ。」
「ん。」
口を開けて待つ零さんの口に、イチゴをそっと入れた。
パクッと一口で食べた零さんは嬉しそうににっこりと笑った。
「うん。美味しい。」
「高級イチゴ買っちゃった。」