第15章 お酒
私は、荷物を持って急いで立ち上がった。
「ごめんなさい!お金はまた今度!」
バタバタと小走りで店を後にする。
家まで間に合うだろうか。昔から日本酒だけはダメだった。
そう言う体質なんだと思う。
他のお酒は全然大丈夫だし、焼酎だって平気だ。
ただ、日本酒だけ…
お店を出て少ししたら、心臓がバクバクとし始めた。
やばい…くらくらする。
後ろの方で昴さんの声が聞こえた。
ーー私の記憶はここまでだった。
めぐみさんが、日本酒を口にしてから急に立ち上がりお店を後にしたのは驚いた。
いったいどうしたと言うのか。
カードで払っていては彼女を見失う思い、一枚お金をカウンターに置き、釣りは不要と伝えると彼女の後を追った。
さほど遠くないところで、めぐみを見つけた。
「めぐみさん?」
声をかけると、めぐみはこちらを振り返り、膝から崩れ落ちるように倒れた。
「あ、しゅばるさーん。ないすきゃっち!」
「…?めぐみさん?」
倒れはしたが意識はあるようだ。…が、いつもの様子が違う。
酔うにしてもたったビールとスパークリングの日本酒数口でこんなになるだろうか。
しかし、彼女は日本酒に対して驚いていた。
もしかしたら日本酒が原因か?
「すっばるさーん。ふふ、すばるさぁーん」
「酔ってます?」
「はぁい。酔ってまーす!日本酒一口でこのありさまでぇす。」
「これはすごい。」
こんな体質の子は初めてだ。
彼女の家は知らないし。こんな状態の子をここから工藤邸までは連れて行けない。
「ねー、全然歩けない…抱っこして?」
俺の首に腕を絡め、小首を傾げながら俺を覗き込んできた。
魔性だな。
幸いここは駅前。ホテルはいくらでもある。
抱き上げ連れて行ってもいいのだが、それだとあまりに目立ちすぎる。ホテルに行くにしてもこれじゃあホテルに無理やり連れて行く男にしか見えないだろう。
めぐみの手を肩に回し、無理にでも歩かせた。
「悪いが、近くのホテルに行くぞ。まさか、君がこんなに風になるとは思わなかったよ。」
「さて問題でぇす。日本酒飲んだ私はどーなるでしょーか!」
ずるずるとほとんど引きずられるようにめぐみは俺に向かって、陽気にそう言った。