第138章 In sickness and in health,
私は“もちろん”首を振った。
「ここにいたい。」
「ダメだ。」
「…お仕事の邪魔はしない。ここから出ることができるまでの間だけでいい。」
私がそう言うと、降谷さんはカッと目を開いた。
「っ!出られないかもしれない!…目の前で爆発したあの男は近寄れないくらい激しく燃え上がり簡単に死んだんだ!それが今!僕についてる!めぐみにそんなもの…見せられるわけないだろう!」
「……っ。」
人が燃えるところなんて見たことなんてない。
そんなわたしが、大好きな降谷さんが燃えるところなんてみて、正常でいられるのかなんて…無理に決まってる。
目からポロリと涙が流れた。
「…最初に僕は君に行ったはずだ。」
降谷さんはガラスから手を離し、諭すようにゆっくりと優しく話し出した。
「この先急に連絡が取れなくなることもある。何日も会えないことも。危険が伴うから何が起こるかわからない、とーー…。」
ーー…それが今だとでも言うのだろうか。
「…。」
「そう、言ったはずだ。」
目の前で爆発しようと、それが起こるのか起こらないのかわからない以上、私はそばにいたい。
ーー最期まで。
私は首を振った。
「…それでも……。」
ガシャン!!
降谷さんは電話の本体をガラスに押し付け、声を荒げだ。
「これが!公安なんだ!めぐみっ!言うことを聞けっ!」
「私はっ!公安の!ゼロの!こいび…っ…妻ですっ!」
私は電話がある柱に備え付けられていた小さな木製の台のようなものを片手で持ち上げ、ガラスに向かって思いっきり振り上げた。
受話器からはすでに手を離しているが、大声をあげているのできっと聞こえてはいるだろう。
「よ、よせっ!」
「はぁ…はぁ…」
木製の台は脚が折れ壊れてしまったが、ガラスにはもちろん傷ひとつ付いてはいなかった。
それでも、私は何度も台を持ち上げガラスの向こうにいる降谷さんに向かって、叩きつけ、投げつけた。
「降谷さんは!!どうして危険を犯してまで、異世界に私を迎えに来たの!?」
「…めぐみ。」
「公安だからじゃないでしょう!!」