第138章 In sickness and in health,
電話の本体を持った降谷さんはガラスギリギリのところまで来て、ずっと怒って私に帰るように言い続けた。
「なんでここにいるの?」
「知らずに来たのか…っ!」
ギリっと奥歯を噛み締め降谷さんは少し顎を上げた。
首に何かついているのはすぐに気付いていた。
ただのアクセサリーじゃなことも。
大きな首輪で、ピンクと青の液体が左右にそれぞれ揺れているのがわかった。
「…それは?」
「爆弾だ。」
「…爆弾。」
ピンと来ない。
実物を見るのは初めてだ。
漫画や映画でしか見たことない。
「どこまで聞いた。」
「松田さんと萩原さんを死に追いやった男を使って、降谷さんを誘き出したって聞いたよ。」
「そうだ。その逃げ出した男は、今僕の首にある同じ爆弾をつけられ、僕の目の前で爆破し、死んだよ。」
「…っ。」
同じ爆弾でーー…。
死ぬほどの威力のある爆弾が降谷さんの首に今付いてる…。
「…取れないの?」
「取り方も、時限式なのかもわからない。遠隔でいつ爆発するのかも。…ここは、特殊強化ガラスに覆われていて爆発が起きても他に被害が行かないようにしてる。」
「“他に”?…降谷さんは?」
柱についた電話からだと、降谷さんが少し遠くて、しかも薄暗いせいで表情がはっきりとは見えないが、眉を寄せ辛そうにしているのはわかった。
「…だから、めぐみには来てほしくなかった。」
…いつ爆発が起きて、自分が死ぬかわからないから私に来てほしくなかったの?
「私の知らないところで死ぬの?」
ガラスに手をつき、私をじっと見つめた。
「…頼む、帰ってくれ。…君に見せたくない。」