第14章 ほらね!
私は何もせず、ただ黙って俯いていた。
じっとしていたらこの犯人たちはお金を持って出ていくはず。
私たち人質は約30人。
銀行員さんと客とでだいたいそのくらいだ。
手首を後ろで結ばれている。大きな出入り口の近くでまとめて座らされていた。
「おい、はやく鞄に入れろ!サイレンが聞こえ始めたぞ!」
「ちっ!思ったより早い!おい、お前らいくぞ!」
行内にいるのは3人。外に見張りはいるのだろうか。
私にはわからない。
1人の男がキョロキョロと人質を吟味し始めた。
「ちっ、子供はいないのか!じゃあいい、弱そうな女連れて来い!」
「サツが意外と早かったから1人連れて行かせてもらう!」
ひぃっと何人かの女性が悲鳴をあげた。
簡単に人を撃ち殺すような人たちだ、誰だって怖いに決まってる。
「おい!そこのメガネの女!立て!」
メガネと言われて私は顔を上げた。
銃はどう見ても私に向いている。
「早くしろ!たて!」
ガタガタと震えが止まらない。
後ろに手を持っていかれているため、うまく立てない。
立とうとして、こけてしまい頬から地面に着いてしまった。
「ちぃ!どんくさい!」
腕を取られ無理やり立たされた。
ぐいぐいと引かれ、銀行の裏口まで来た。
裏口を開けようとした瞬間、ドアが吹っ飛んだ。
そう文字通り吹っ飛んだ。
私の前にいた強盗犯はドアが顔に直撃し、その場に仰向けで倒れ込んだ。
目を回して伸びている。
とん…とん……と転がるのはサッカーボール。
このサッカーボールがドアを吹っ飛ばしたようだ。
…コナンくん?
「な、なんだ!」
ぐいっと私を盾にするように男2人は私の後ろに立った。
肩が捻られてすごく痛い。
「残念、こちらですよ。」
どがっと音がして私の後ろにいた男が1人下に崩れた。
上から聞こえた声。
「あ…」
安室…さんだ…!
天井の通気口だろうか、点検口だろうか…
そこから天井と一緒に男を踏み潰して降ってきた。
「くそっ!誰だ!サツか!」
私の腕を持つ男は私のこめかみに銃を突きつけて安室さんに向き合った。
安室さんはスーツ姿だった。
そのスーツで天井の狭いところに忍びこんだのだろうか。
「いいえ、警察ではありません。プライベートアイ。探偵ですよ。」